姫路市圓教寺の三之堂に、パビリオン「くぎくも」を制作しました。
オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクトの「圓教寺×隈研吾 生き延びるためのデザインワーク:これからの用の美」の一環として制作した本パビリオンは、SEKISUI HOUSE – KUMA LABと日本女子大学建築デザイン学部江尻憲泰研究室の協働で設計を行いました。
2024年6月16日~12月1日まで現地での展示が行われます。
日本の伝統的な釘である和釘は、工場で大量生産される洋釘とは異なり、一本ずつ手打ちで作られる。そのため軸の形状が四角く、丸い軸を持つ洋釘と比べて表面積が大きいので、打ち込んだ材料によく食いつくといわれている。
和釘を作ることができる工房は全国でもほとんど残っていないが、数少ない一つが姫路の明珍本舗である。明珍さんの和釘は、独特の深みのある黒色が魅力的で、姫路城の修復にも使われている。普段は木に打ち付けられてその姿がほとんど隠れてしまう縁の下の力持ちが主役になるようなパビリオンを、東大のKUMA LABと日本女子大の江尻研究室とのコラボレーションで作った。
職人技で一本一本寸分違わぬ精度で作られる和釘と、デジタルファブリケーションによって釘がピッタリと入る正確な穴を開けた透明なパイプを組み合わせることによって、釘が雲のように宙に散逸するようなパビリオンができた。
隈研吾
「くぎくも」デザインチーム
東京大学総括プロジェクト機構SEKISUI HOUSE – KUMA LAB
隈研吾、平野利樹、須藤望、田川直樹
日本女子大学建築デザイン学部江尻憲泰研究室
江尻憲泰、松尾智恵、小塩実可子、大本美咲、齊藤美月、八戸実彩紀
和釘製作:明珍宗敬
現地施工:東京スタデオ