SUBSCRIBE

T-BOX 誕生

「未来の住まいのあり方」をテーマとした研究および次世代の建築人材育成を目指す「国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE – KUMA LAB)」の研究施 設「T-BOX」を東京大学 工学部 1 号館に新設しました。本日、新設を記念しオンライン記者発表会・報道公開 を実施しました!

オンライン記者発表会には、積水ハウス株式会社の仲井嘉浩社長、東京大学からは染谷隆夫工学系研究科長をはじめ、佐久間哲哉先生、加藤耕一先生が登壇し、SEKISUI HOUSE – KUMA LABの隈研吾教授、セン・クアン准教授、平野利樹講師が「T-BOX」の新設経緯や今後の展望などについて語りました。

 

開催日時:2021年10月14日 (木) 10:00〜12:30

  1. 開会挨拶:司会
  2. 挨拶:東京大学 工学系研究科長 染谷 隆夫
  3. 挨拶:東京大学 建築学専攻長  佐久間 哲哉
  4. SEKISUI HOUSE-KUMA LABへの期待・展望:仲井 嘉浩
  5. SEKISUI HOUSE-KUMA LABについて:隈 研吾
  6. SEKISUI HOUSE-KUMA LABについて:佐々木 経世
  7. 「T-BOX」について:セン・クアン、平野 利樹
  8. 質疑応答(仲井 嘉浩、隈 研吾、セン・クアン、平野 利樹)
  9. 関係者ビデオメッセージ(バリー・バーグドール、サラ・ホワイティング)
  10. 閉会挨拶:司会

 

「SEKISUI HOUSE-KUMA LABへの期待・展望」
仲井 嘉浩(なかい よしひろ 積水ハウス株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO )

「SEKISUI HOUSE – KUMA LAB」は、2020 年 6 月に隈研吾氏を中心に始動いたしました。「デジタルテクノロジーを駆使」し、「国際的な思考」と「歴史の再認識」を重視した活動を展開することにより、未来の住まいのあり方を研究する施設です。最先端のデジタル技術の活用や、国際人材の育成を進める東京大学と、人生 100 年時代における住まいと暮らしについて挑戦する積水ハウス、この両者の産学連携により、新たなイノベーションが生まれることを期待しています。 積水ハウスは 2020 年からの 30 年間に向けて、グローバルビジョンを「わが家」を世界一 幸せな場所にする、と掲げました。今まで培ったハードにソフトとサービスを融合させて新たな価値を提供し、住まい手に寄り添いながら、幸せづくりのパートナーになりたいという挑戦です。そして、我が国で培った住宅に関するノウハウを積極的にグローバルにも展開していきたいと考えています。 本ビジョンを掲げた背景は、高度経済成長期を終え成熟期に入った我が国において、住宅に求められるニーズの変化がしているという思いからです。人生 100 年、幸せに過ごすためには、お金や不動産といった有形資産よりも、健康や人とのつながりなどの無形資産がより重要になる。さらには、より自分らしく生きるために、 “感性”を大事にする時代がやってくる。素材や手触りを感じるデザイン、アートなどを取り入れて、より自分らしい感性を表現する。自分にとって価値のある大切なものに囲まれて過ごす。このように個人の感性を重視した価値観やニーズが増えてきているように感じます。当社では「Life kint design(ライフ ニット デザイン)」というコンセプトで住宅のデザインの研究を進めています。 一方、日本には世界でも注目される伝統工芸が多く存在します。作り手の熱意、高い技術、歴史が融合した素晴らし職人ワザですが、一般家庭に取り入れることは中々難しいと思います。この日本独自の職人技を、デジタルの力を借りることにより、より身近なものにしていけば、もっと感性豊かになれるかもしれません。全国に 1 人しか作れない希少な作品も、ストーリーとトレーサビリティを大事に継承しつつ、デジタルを使って生産し、住まい手の多様な感性に合わせてカスタマイズしていく。そんなことが可能になるはずです。「SEKISUI HOUSE – KUMA LAB」に集結した、感性・発想力豊かな学生たちのコラボレーションにより、様々なイノベーションが起き、新しいアイデアが生まれることを期待しています。

SEKISUI HOUSE-KUMA LABについて
隈 研吾(東京大学 特別教授/SEKISUI HOUSE ー KUMA LAB アドバイザー )

コロナ禍の 2020 年 6 月に「SEKISUI HOUSE – KUMA LAB」が開始、本日「T-BOX」が完成したことは、歴史的にも特別な意味があると感じています。そして今、新型コロナウイルスによって、住まい、建築、都市の在り方が大きく変わろうとしています。 業界が抱える大きな課題は、リアルとデジタルをどのようにつなぐかということです。建築学科ではこれまで、リアルなものや空間づくりを行ってきましたが、それらと新たなデジタルテクノロジーをどのようにつなぐかということを考えなくてはいけません。
本取り組みの目的は、リアルとデジタルをつなぎ直すことです。そして、それを実行できる人材を教育・育成することです。「T-BOX」はリアルとデジタルだけでなく、その他にも様々なものをつなぎ直すと思います。 1 つ目の使命として、工学部には様々な研究、特にデジタルに関して、素晴らしい成果が上がっています。それらと、リアルな世界の研究をつなぎ直すことです。「T-BOX」は東京大学工学部の様々なものをつなぎ直すきっかけを作れると思います。 2 つ目の使命として、実際にものづくりをしている積水ハウスをはじめとする企業や社会と研究をつなぎ直すことです。実社会での経験を研究に生かすという場所になり、「未来の住まいのあり方」を新たに導いていく場所になればと思います。 3 つ目の使命として、海外と日本をつなぐことです。建築業界において、海外と日本の交流は多くありませんでした。その一方で、日本の建築は世界からも注目が高く、日本で勉強したい、日本で研究したいという方が多くいます。コロナ禍では交流が困難でしたが、ポストコロナでは新しい交流の時代、そのためのプラットフ ォームとして、大きな役割を発揮するはずです。すでに海外の方を迎えるプログラムも用意しています。 4 つ目の使命として、デジタルを活用し、歴史と現代をつなぎ直すことです。東京大学の建築学科だけでなく日本の建築や歴史を記録する図面や模型など様々ありますが、これまでアーカイブ・記録することが疎かにされてきました。デジタルでそれらをまとめる、後世に伝えるということが可能になります。そのための設備や機器も用意しています。今後も、この素晴らしい研究拠点を生かして、様々なものをつなぎ直すことを進めていきます。